音楽レシピ | 「東京VICTORY」カバー音源の制作を振り返る1(背景と準備編)

「東京VICTORY」のジャケットのオマージュ 音楽
「東京VICTORY」のカバー音源作成作業を振り返ります!

Ciao!みなさんこんにちは!このブログでは主に
(1)pythonデータ解析,
(2)DTM音楽作成,
(3)お料理,
(4)博士転職
の4つのトピックについて発信していきます。

今回は音楽レシピ、東京VICTORYのカバー音源の制作を振り返ります!
音楽レシピでは、DTM音楽作成に役立つ豆知識を紹介していきます。
現在ではノートパソコン1台で本格的な音源を作ることができます。
安価なソフトウェアも手に入るので、音楽制作に手を出しやすい環境が整ってきています。

  • 「自分で作曲をしてみたい」
  • 「市販のカラオケ音源では物足りないから自分で音源をつくりたい」

といった方も増えてきているのではないでしょうか?

今回から数回に分けて、サザンオールスターズの「東京VICTORY」のカバー音源の制作を題材に、音源作成作業を振り返ります!
耳コピーの方法やトラックの作り方など、私自身はただの素人ではありますが、参考にしていただける点もあると思います。
シリーズ初回の今回は、「東京VICTORY」という楽曲についての私の理解をご紹介します。
よければお付き合いください!

私が作成した音源はYouTubeで視聴可能です!ぜひご視聴ください!

Abstract | 曲はシンプルでも音響は派手な「東京VICTORY」

「東京VICTORY」は東京が2020年夏季オリンピックの開催地に選ばれた2013年から2014年頃に作られた曲です。
震災から間もなく、「東京オリンピックに必ずしも前向きになれないながらも、前をむいて行こう」という、ためらいや郷愁と前向きさが同居した曲になっています。
国立競技場の建て替えをはじめ、サザンオールスターズがレコーディングを行うビクタースタジオのある千駄ヶ谷周辺の町並みも変わっていくことになり、「故郷の姿が変わっていくのは寂しい気持ちもあるけれども、新しい時代に進もう」というメッセージが感じられます。

この楽曲の特徴は、バンドサウンドをベースにしつつ、オートチューンエフェクトやアグレッシブなドラムサウンドを用いた前衛的なアレンジ、そしてサビで聞こえてくるピアノのカウンターメロディーです。
特徴的なピアノとバンドサウンドが融合したサザンらしいアレンジと言えるでしょう。
ドラムサウンドは、スネアドラムの「スコーン」と抜ける音作り、いわゆるEDMほど前面に出てきているわけではないものの存在感のあるバスドラムが印象的です。
ピアノの音もエッジの効いたアグレッシブな音に聞こえます。
また、コード進行は、ほとんど通常のダイアトニックで済んでしまうシンプルなものです。
コード進行はシンプルながら、アグレッシブで派手な音作りがなされています。
このような特徴を捉えられるようにコピーをしていきます!



Background | 「東京VICTORY」という曲

まずは私が楽曲をカバーするにあたって、「東京VICTORY」をどのように捉えているかをお話します。

楽曲の背景とメッセージ

「東京VICTORY」は2014年9月に発売されたサザンオールスターズのシングル曲です。
2013年、東京が2020年夏季オリンピックの開催地に選ばれました。
それから国立競技場の建て替えをはじめ、サザンオールスターズがレコーディングを行うビクタースタジオのある千駄ヶ谷周辺の町並みも変わっていくことになりました。
そんな時期に作られた曲です。
「時の流れが早すぎて着いていくのはしんどいけど、故郷の姿はどんどん変わってしまうけど、それでもいつまでも若い気持ちをもって前向きに生きようぜ!」というメッセージが感じられます。
全力で前向きな応援ソングではなく、郷愁と前向きな気持が同居しています。

当時、東日本大震災を経験してまだ間もなく、「オリンピックなんてやっていていいのだろうか」と考える人も多かったはずです。
特に、いまだに収束の目途の立たない福島原発事故、そのために故郷に帰れない人がいるなど、必ずしもオリンピックに前向きになれない状況の中、「それでも前を向いて進もう」と背中を推してくれる曲です。

歌詞の中にも、故郷への郷愁を感じながらも前向いて進もうというメッセージが散りばめられています。
サザンオールスターズとして30年以上活動してきた、メンバーにとっては第二の故郷とも言える千駄ヶ谷の町並みが変わっていくことの寂しさを「川の流れのように変わりゆくMy home town」と歌っており、それでも前を向いていこうというメッセージが「ビルの街にもRising sun 勝利のFinal countdown」と歌われています。
さらに、3サビの「時が止まったままのあの日のMy hometown 二度と戻れぬ故郷」は、東日本大震災で被災された方々、原発事故で故郷に戻ることができなくなった方々に寄り添う詞となっています。

楽曲の音楽的特徴

この楽曲の特徴は、バンドサウンドをベースにしつつ、オートチューンエフェクトやアグレッシブなドラムサウンドを用いた前衛的なアレンジです。
また、サビで聞こえてくる原由子氏によるピアノのカウンターメロディーは特徴的です。
特徴的なピアノとバンドサウンドが融合したサザンらしいアレンジと言えるでしょう。
このような特徴に注意しながら耳コピーをしていきます。

シングルバージョンとアルバムバージョン

本家サザンオールスターズの音源はこちらを聞いてみてください。
YouTube : https://youtu.be/vLDmrHibaqg
この音源はシングルバージョンの音源と思われます。
歌いだしの頭にブレスが入っているのが特徴です。
「葡萄」や「海のOh, Year!!」に収録されているアルバムバージョンでは、このブレスはありません。
また桑田さんいわく、アルバムバージョンではマスタリングでスネアドラムの前後感を変えているらしいですが、私にはよくわかりませんでした笑
上記YouTubeの概要欄にストリーミングのリンクがありますが、それはどうやら「葡萄」に収録されたバージョンのようです。
興味がある方はYouTube版とストリーミング版(「葡萄」収録版)を聴き比べてみてください!

「君こそスターだ」との比較

2004年アテネオリンピックの応援ソングの「君こそスターだ」に比べるとダイナミックレンジを感じます。
「君こそスターだ」はサザンの夏曲というイメージで、音楽的にはポップな仕上がりになっています(桑田さん自身は「「君こそスターだ」は力が入りすぎてしまった。反省している。」といったことをラジオで語られていました)。
出だしのアコースティックギターだけで歌が始まる部分からバンドが入ってくるところの盛り上がりは気持ちが良いです。

コード進行の特徴

コード進行を見てみると、サビは下降進行、Aメロは1→4→5という非常にシンプルなです。
使われているコードもほとんどがダイアトニックコードで、Bメロに一箇所だけ2_7(B7)が使われているのと、曲終わりのF→G→Aのところだけです。
キーはAメジャーで「君こそスターだ」と同じです。

イントロ部分のオマージュと9thの音

イントロの「ラー、ド、レー、ド、ラ、ラ、ド、レー、ド」のメロディーは、Beach Boysの「Then I Kissed Her」のオマージュです。
Beach Boysの「Then I Kissed Her」は下記のリンクから視聴可能です!
聞いてみてください!
YouTube Music: https://music.youtube.com/watch?v=VgvyOuMIQ80&feature=share

このイントロでは、Aのコードの対して、D、つまり9thの音が心地よい響きを作り出しています。
桑田さんの楽曲では9thの音が入るアレンジがよく使われます。
例えば、「波乗りジョニー」Aメロのギターアルペジオでは、Dのコードに対して「レ、ミ、レー、ラー」と9thのE(ミ)の音が入ります。
他には「Love Affair 〜秘密のデート〜」の出だしのイントロでもDのコードに対して「レラレラミーレーラ」と9thのE(ミ)が入ります。
あとは、「Ya Ya (あの時代を忘れない)」の最初のイントロでもGのコードに対して「ソレソレラレレー」というところでも9thのA(ラ)の音が入っています。



Data | 制作環境と参照音源

具体的な音楽制作作業に入る前に、私のDTM環境と今回参照した音源を紹介します。

私の音楽制作環境

今回の音源作成で関係するものとしては下記のようになっています。

パソコンMac Book Pro 13′ Late 2016
DTMソフトLogic Pro X
オーディオインターフェイスFocusrite Scarlett G2 6i6
Focusrite Scarlett G2 2i4
モニタースピーカーYAMAHA MSP3
モニターヘッドフォンSONY MDR-7506
SONY MDR-CD900ST
キーボードKORG D1
マイクaudio-technica AT4040
アコースティックギターどっかの入門用の安いやつ
エレキギターどっかの入門用の安いやつ
主な使用機材

使用ソフトはLogic Pro Xと、これに付属している音源、プラグインのみです。
キーボードKORG D1はお求めやすいステージピアノですが、MIDI出力がついています。
このMIDI出力をつかってMIDI楽器の演奏をしています。

参考にした音源

今回参考にした音源は以下の3つです。

  1. アルバム「葡萄」収録版の「東京VICTORY」
  2. 「LIVE TOUR 2019 “君は見てくれが悪いんだから、アホ丸出しでマイクを握ってろ!!”だとふざけるな!!」のライブBlue-Ray Disc(BD)
  3. 上のライブDVD収録のMaking映像

2の「ふざけるなライブ」では1曲目が「東京VICTORY」です。
ライブ映像は、ドラムのフィルインのタム回しの順番を確認するなど、映像を参考にしてアレンジを読み解くときに使います。

3のMaking映像は、ド頭のシンセの音色の参考にしました。
CD音源を聞いていると、シンセの音色が若干わかりにくいのです。
Making映像では、「東京VICTORY」の入り方について話し合うシーンで、原さんがシンセを単体で弾いてくれるところがあるので音色がよくわかります。
オルガンの音というよりは、キラキラしたシンセパッドの音であることがわかります。
このようにCD以外の音源も参考にできると、コピーをしやすくなります。

「LIVE TOUR 2019 “君は見てくれが悪いんだから、アホ丸出しでマイクを握ってろ!!”だとふざけるな!!」のライブBD



Conclusion | まとめ

最後までご覧いただきありがとうございます!
「東京VICTORY」の音楽的背景の私なりの理解をお話しつつ、私のDTM環境と参考にした音源をご紹介しました!

ためらいのような少し後ろ向きな気持ちと、それでも前を向いて進もうという前向きな気持ちが同居する歌詞、シンプルながらもアグレッシブな音作りで、バンドサウンドとピアノが融合したサザンらしいアレンジが特徴的です。
歌詞的にもアレンジ的にも「明るいサザンの夏曲」というよりは、感情の起伏が感じられます。
このような特徴を捉えられるようにコピー・アレンジをしたつもりです!

以上、「音楽レシピ | 「東京VICTORY」カバー音源の制作を振り返る1(背景と準備編)」でした!
次回以降では具体的なDTM作業を振り返ります!
またお会いしましょう!Ciao!

コメント

タイトルとURLをコピーしました