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今回はデータサイエンティストの子育て体験記として、無痛分娩についてお話します。日本では浸透していない無痛分娩ですが、私たち夫婦はメリット・デメリットを比較して無痛分娩を希望しました。無痛分娩とはどのようなものなのか、私が考えるメリット・デメリットなど、無痛分娩を希望した決め手をお話します。
この記事を読めば、無痛分娩を検討する上で考えるポイントがわかります。専門家が書いている記事ではないので、一例としてご自身のお産の参考としてください。
この記事はこんな人におすすめ
- 子どもを持とうと考えている方
- もうすぐ子どもが生まれる方
Abstract | 産後の回復が早いメリットが決めてで無痛分娩を希望
私達夫婦は無痛分娩について
- 陣痛の痛みが軽くなる
- 産後の回復が早い
- 硬膜外麻酔のリスクは低い
と考えて、無痛分娩を希望するに至りました。お産をする妻としては「1. 陣痛の痛みが軽くなる」が一番重要なポイントなのではないかと思います。
夫である私としても、わざわざ痛みを我慢する必要はないと考えますし何より「2. 産後の回復が早い」というメリットが大きいと考えて無痛分娩に賛同しました。また、決定的なリスクとして、硬膜外麻酔特有のリスクはありますが、経験豊富な産院であれば十分な対応ができているためリスクは低いと判断しました。
無痛分娩の概要
無痛分娩では硬膜外麻酔という麻酔を投与し、陣痛の痛みを軽減しながら経膣分娩によって出産する方法です。英語では「epidural labor」(硬膜外麻酔分娩、epidural: 硬膜外麻酔、labor: 分娩)あるいは「painless delivery」(無痛出産)と表現されます。欧米では普及しており、アメリカ(73 %)、カナダ(58 %)、イギリス(60 %)、フィンダンド(89 %)、ベルギー(68 %)などと国によっては2018年頃時点で過半数が無痛分娩のようです。日本では2016年時点で6.1 %と少数派に留まります。
硬膜外麻酔
硬膜外麻酔では、背骨の中の「硬膜外腔」という空間に麻酔薬を注入することで(図1左)、下半身につながる痛みの神経(図2右)を麻痺させます。硬膜外麻酔はカテーテル(管)を背中側から挿入し、硬膜外腔に留置しておくことで、持続的に麻酔を投与でき、また投与量を随時常設することができます。このような利便性から出産や手術痛の痛みの緩和、術後の疼痛管理によく用いられる方法です。
私の理解ではありますが、吸入や静脈からの麻酔と異なり、麻酔薬が血液に送り込まれないので胎児への影響が無視できるほど小さいと理解しています。硬膜外麻酔を使った無痛分娩によって胎児に悪影響があるというエビデンスはないようです。
計画無痛分娩の流れ
無痛分娩には、自然に陣痛が始まったら入院して硬膜外麻酔の管を入れる自然無痛分娩と予め入院日を決めておいて、陣痛誘発剤によって分娩を開始する計画無痛分娩とがあります。私たちの予約した産院では計画無痛分娩のみ実施していたので、計画無痛分娩の流れをざっくりと説明します。あくまで私たちの予約した産院の話で、実際には産院によって異なる点にご留意ください。
出産計画日の設定
病院によっては出産をいつにするか柔軟に設定できます。私たちの予約した産院では、子宮口が少し開いてきた段階で出産計画日を設定するスタイルでした。子宮口が全く開いていない場合、陣痛促進剤を使ってもお産に時間がかかってしまうため「そろそろスムーズに産めそう」となった段階で計画日を設定するようです。他方、知り合いの利用した産院では妊娠中期頃に計画日を決めてしまうところもあるようです。
出産計画日前日: 入院・カテーテル挿入
出産計画日の前日に入院し、硬膜外麻酔のカテーテルを挿入します。また、ここから食事が制限されます。胃に食物が入っていると麻酔を開始できないので、麻酔開始の何時間前以降は水分以外摂取禁止となることが多いようです。たちの利用した産院では、前日の夕食までだったと思います。
出産計画日当日: 陣痛誘発開始
出産日当日になったら陣痛誘発剤が投与され、陣痛が始まります。子宮口の開きが不十分な場合はバルーンを入れて子宮口を広げる処置をすることもあります。麻酔の利用を開始するタイミングは産院により、ある程度お産が進んだところで開始する産院もあれば、いつ始めても良いという産院もあります。私たちの利用した産院では、子宮口が何センチかまで開いて以降は希望のタイミングで麻酔を開始して良いという感じだったと思います。
出産計画日翌日: 長引いても産み切る
私たちの利用した産院では、初産の場合、朝から陣痛誘発を開始してスムーズにいけばその日中に産めるし、夜までに産めなければ陣痛誘発剤を一旦止めて翌日に持ち越しとなります。一方で、翌日に持ち越しとなった場合でも、その日には必ず産み切る(経膣分娩がどうしてもスムーズに行かない場合は、別の原因があると考えられるので帝王切開に切り替える)という方針でした。
産後: 自然分娩とほぼ同じ
産後の過ごし方は自然分娩とほぼ同じだったと思います。産後の処置をした後、産後2時間ぐらいは赤ちゃんと両親が触れ合う時間が設けられます。自然分娩との相違点としては立ち歩いたり排泄などに制限があったかもしれませんが覚えていません。
無痛分娩のメリット・デメリット
無痛分娩のメリットとデメリットを上げておきます。
無痛分娩のメリット
無痛分娩の主なメリットは
- 陣痛の痛みが軽くなる
- 心肺や血管など身体への負担が軽くなる
- 産後の回復が早い
- 上半身は無麻酔なので普通に活動できる
- 緊急帝王切開への切り替えが短時間で可能
の5つです。私たちの意思決定の一番の決め手となったのは「産後の回復が早い」という点です。赤ちゃんが生まれて間もない頃は大変な時期なので、産後素早く回復できることは大きなメリットと考えました。それぞれのメリットについて簡単に触れておきます。
陣痛の痛みが軽くなる
当然ですが陣痛の痛みが軽くなるのが大きなメリットです。陣痛の痛みは指を切断するより痛いという説もあるそうなので、痛みが軽くなって出産が痛い経験でなくなるのはありがたいですよね。
心肺や血管など身体への負担が軽くなる
陣痛の痛みが軽くなることで、妊婦さんの呼吸が乱れにくくなり心臓や肺への負担が減るようです。血圧が高かったり、心臓や肺に疾患を持つ妊婦さんなどには無痛分娩が有効とされるようです。
産後の回復が早い
陣痛の痛みが軽減されることで、痛みを我慢するために全身に力を入れたりする必要がなくなるので産後の回復が早くなるようです。
上半身は無麻酔なので普通に活動できる
硬膜外麻酔では上半身に麻酔がかかっていないので、生まれた赤ちゃんと触れ合うなど自然分娩と同じように活動できます。
緊急帝王切開への切り替えが短時間で可能
分娩中に赤ちゃんの状態が悪化して緊急帝王切開が必要になったとき、速やかに移行できます。自然分娩からの移行では早くても20分かかるところが約10分で済むようです。
無痛分娩のデメリット
無痛分娩のデメリットには以下のようなものがあります。
- 痛みがないわけではない
- お産が長引くことがある
- 吸引分娩、鉗子分娩などの機械分娩が必要になることが多い
- 陣痛促進剤が必要になることが多い
- 追加費用が必要になる
- 産院が限られる
- 産院によっては時間外に無痛分娩ができない
- 硬膜外麻酔特有のリスクは負う
私が気にしていたのは機械分娩と硬膜外麻酔特有のリスクですが、経験豊富な産院であればどちらも小さいと考えました。それぞれのデメリットについて簡単に触れていきます。
痛みがないわけではない
無痛分娩は「無痛」と言いながら痛みが無いわけではありません。赤ちゃんを娩出するための最低限の陣痛は必要になります。そのため、お産の進みが悪い場合には麻酔の量を減らしてあえて陣痛を起こさせる場合もあるようです。「結構痛い」とか場合によっては「普通に痛い」(それでも自然分娩よりは痛みが緩和されているのかもしれませんが…)という知人もいます。お産が進まなくて、結局最後はほとんど麻酔なしで出産することになった人もいるので、無痛分娩にすれば痛みを経験しなくて済むわけではないことに注意が必要です。
お産が長引くことがある
無痛分娩では陣痛の痛みが軽減される代わりに、いきむ力すなわち子宮を収縮させて赤ちゃんを娩出するための力が不足しがちなようです。そのため、なかなか赤ちゃんが出てこなくてお産が長引くこともあるようです。特に計画無痛分娩では、まだ自然には陣痛が来ない状態でお産を始めるので時間がかかることが多いようです。
私の利用した産院では「初産の場合は朝に陣痛促進剤を開始して、早くてもその日の夕方、場合によっては翌日に仕切り直し。2日コースも稀ではない」とのことでした。無痛分娩 = 安産ではないことに注意が必要です。
陣痛促進剤が必要になることが多い
前段と関係して、無痛分娩では陣痛の痛みが軽減されるので陣痛促進剤(オキシトシンという子宮収縮ホルモン)を投与してお産を進めてあげることが必要になることが多いようです。計画無痛分娩ではほぼ必ず必要になります。
吸引分娩、鉗子分娩などの機械分娩が必要になることが多い
こちらもお産が進みにくくなることと関係しますが、吸引分娩や鉗子分娩など、機械的に赤ちゃんを引っ張ってあげることが必要になることが多いようです。私の利用した産院では「鉗子が必要になることは少ないけれども、吸引分娩はほとんどの場合必要です」とのことでした。
追加費用が必要になる
当然ですが追加費用が必要です。無痛分娩は自然分娩同様に保険適用外なので、それなりに高額です。
産院が限られる
意外と大きなデメリットです。日本では無痛分娩は普及していないため、実施できる産院も少ないです。通える範囲内、陣痛が来たらすぐに行ける範囲内で、かつ実績があって信頼できる産院を探すとなるとやや骨が折れるかもしれません。
里帰り出産の場合、地元の産院では無痛分娩に対応していない可能性があることに注意が必要です。里帰りしたほうが安心して周産期を過ごせるけど無痛分娩はできない、里帰りしなければ無痛分娩はできるけど生活が心細いというジレンマに直面するかもしれません。
また、分娩予約が早く埋まってしまう可能性もあるので、妊娠初期(妊娠が分かって間もない頃)に予約する必要がある場合もあります。そのため、無痛分娩を希望する場合、妊娠が分かる前から産院を調べて目星を付けておくことをおすすめします。
産院によっては時間外に無痛分娩ができない
これ自体は無痛分娩のデメリットではないですが、産院によっては休日・祝日、平日でも深夜は麻酔医が不在のため無痛分娩に対応していないことがあります。もし平日のお昼に陣痛が来れば入院後に硬膜外麻酔の処置が行えますが、深夜に陣痛が来るとそのまま自然分娩で生むか朝まで耐えてから硬膜外麻酔の処置を行うかということになります。
硬膜外麻酔特有のリスクは負う
硬膜外麻酔特有のリスクは生じます。例えば、よく見られる麻酔の副作用として
- 皮膚のかゆみ
- 低血圧
- 吐きけや嘔吐
- 発熱
といったものがあります。これらは麻酔を止めればすぐに解消することがほとんどのようです。
より深刻なものとしては、
- 管が硬膜外腔以外に入ってしまう
- 麻酔薬へのアレルギー反応
などがありあすが、これらは医療環境の整った施設であれば防止策が整備されているので、まず回避できると考えて良いようです。
Discussion | 私の無痛分娩への考え
私の個人的な無痛分娩への考えを述べます。出産は特別なものなので自然分娩にこだわる方も多いかもしれません。一方で私は、妊娠・出産・育児は多大な労を伴うものなので、なるべく負担が小さくなる選択をしたいと考えています。妊娠・出産・育児という長期目線で考えて、自然分娩にこだわることは合理的ではないと考えました。また、第二子以降のことを考えても一回のお産の負担はなるべく小さいに越したことはないでしょう。
初産の年齢が上がっている現代に置いては、無痛分娩は普通に選べる選択肢になった方が良いのではないかと思います。30年前であれば初産の年齢が低く、20代前半から半ばごろに初産の妊婦さんが主流だったのではないかと思います。回復力が高いですし、体力も充実しているのでより比較的高齢での出産が主流となった現在より、一昔前の方が自然分娩の負担が小さかったのではないかと思います。欧米では無痛分娩が主流になる一方で、日本では無痛分娩の実施率は10%を切っており、無痛分娩に対応した産院も限られています。日本でも無痛分娩が普及して出産の負担が少しでも小さくなれば、少子化対策としても良い効果があるのではないかと思います。
Conclusion | まとめ
最後までご覧頂きありがとうございます!
無痛分娩の概要と私たち夫婦が無痛分娩を希望する決め手となったメリット・デメリットについてお話しました。
無痛分娩は出産のハードルを下げる一つの良い選択肢と考えます。決して無痛分娩だから安産というわけではないことに注意は必要ですが、陣痛の痛みを和らげ産後の回復が早くなるメリットは大きいでしょう。
ちなみに私達夫婦が「無痛分娩をした決め手」ではなく「無痛分娩を希望した決め手」となっているのには理由があります。私たちの利用した産院では深夜は無痛分娩に対応していません。ところが、陣痛が深夜に来て、朝を待たずにそのまま出産となったため、計画無痛分娩を予約していたにも関わらず自然分娩となりました。計画無痛分娩予約→自然分娩となった出産(を見守る)体験については次回以降の記事でお話します!
以上「育児 | 私たちが無痛分娩を希望した理由」でした!
またお会いしましょう!Ciao!
References | 参考
以下の外部サイトを参考にしました。無痛分娩の詳細を知りたい方はご覧ください。専門的な内容はご自身で調べていただければ幸いです。
- 慈恵病院産婦人科: 無痛分娩のメリット・デメリット
- 日本産科麻酔学会: 無痛分娩についてのQ&A
- 厚労省: 無痛分娩の概要
- Benesseたまひよ: 無痛分娩のリスク
- 芥川バースクリニック: 無痛分娩の入院の流れ
- Wikipedia: 無痛分娩
- Wikipedia: 硬膜外麻酔
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