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今回はデータサイエンティストの子育て体験記として、産前産後休業や育児休業など産前産後に取得できる休業・休暇の基礎知識をお話します。子供が産まれるのに先立って、使える休業制度、休暇制度を調べて知っておくことで、出産育児に備えることができます。
この記事を読めば、夫婦それぞれが使える休業制度、休暇制度を知ることができます。
この記事はこんな人におすすめ
- これから子供が産まれる方
Abstract | 休業・休暇を使って育児に向き合う時間を作ろう
出産や育児に向き合う時間を作るために、産前休業、産後休業、育児休業、年次有給休暇やその他の休暇をうまく活用することができます。会社員には産前休業、産後休業、育児休業など、出産や育児のための休業、それに伴う給付金が整備されています。
これらの休業では、会社を休職する扱いとなるため給与は支給されませんが、勤務先の健康保険や雇用保険から給付金をもらうことができます。休業中は社会保険料が免除になり給付金を貰えるとはいえ、ボーナス算定期間の減少なども考えると多少なりとも収入の減少が伴います。
年次有給休暇やその他の休暇とうまく組み合わせることで経済的なダメージをなるべく抑えることが可能です。まずは、どのような休業制度が用意されているのかを知っておきましょう!
Contents | 父・母が産前産後に使える休業・休暇
産前産後にはいくつかの休業制度が定められており、必ず使わなければならないものと権利として使えるものとがあります。
産前産後に使える休業・休暇ざっくり一覧
会社員が使える出産・育児に関連する休業や休暇をまとめると以下のようになります。
# | 名称 | 取得者 | 任意/ 強制 | 期間 | 有給/ 無給 | 給付金 |
1 | 産前休業 | 母 | 任意 | 産前6週間 から | 無給 | 出産手当金 (健康保険から67 %) |
2 | 産後休業 | 母 | 産後6週間 まで強制 | 産後8週間 まで | 無給 | 出産手当金 (健康保険から67 %) |
3 | 育児休業 (女性) | 母 | 任意 | 産後9週目 から1歳の 誕生日の前日 まで | 無給 | 育児休業給付金 (雇用保険から50–67 %) |
4 | 育児休業 (男性) | 父 | 任意 | 予定日/出産日 から1歳の 誕生日の前日 まで | 無給 | 育児休業給付金 (雇用保険から50–67 %) |
5 | 出生時 育児休業 | 父 | 任意 | 生後8週まで に28日 | 無給 | 出生時育児休業給付金 (雇用保険から67 %) |
6 | 年次 有給休暇 | 父母 | 任意 | — | 有給 | — |
7 | その他 有給休暇 | 父母 | 任意 | — | 有給 | — |
産前休業
産前休業は子供を生む女性だけが利用できる休業です。労働基準法で定められており、単胎の場合は予定日の6週間前から取得することができます。産前休業は本人が希望する場合に利用できるものなので、強制ではありません。
産前休業の給付金
産前休業中、通常は休職扱いとなるため無給となります。ただし、勤務先が加入している健康保険から「出産手当金」を受け取ることができます。国民健康保険からは支給されないので、出産手当金を受け取るのは会社員のみです。給付額は産前休業に入る前の給与の2/3が給付されます。産前休業の期間中は社会保険料が免除となり、給付金は非課税のため、手取り額では同程度となります。
ボーナスを考慮して有給休暇との使い分ける
産前休業は任意で取得できるものなので、産前休業をなるべく使わずに有給休暇を使うという手もあります。産前休業中、非課税の給付金によって手取り額では収入はあまり減りませんが。しかし、休職期間の分だけボーナスの算定期間が短くなるので、ボーナスが減少します。ボーナスの算定期間が短くなるのを防ぐために、なるべく有給休暇(こちらは勤務扱いです)で賄って、社会保険料が免除となるよう予定日が近づいてきたら産前休暇に切り替えるのも手です。
企業によっては給与支給の場合もある
企業によっては産前休暇は給与を全額支給する場合もあるようです。ただ、その場合にもボーナスの算定期間は短くなる可能性もあるので、細かい部分は個別に調べる必要があります。社内規定を調べるか、人事に問い合わせて確認しましょう。
産後休業
産後休業も子供を生む女性だけが利用できる休業です。産前休業と産後休業を合わせて産休と呼ぶことが多いようです。産後休暇は、生後6週間までは必ず利用しなければならず、希望すれば生後8週間まで利用することができます(単胎の場合)。
産後休業中の給付金等は産前休業中と同様
産後休業中も休職扱いのため無休となります。産前休業中と同様、勤務先の健康保険から出産手当金が支給されます。手取り額への影響やボーナスへの影響も産前休業と同様です。こちらも詳しくは勤務先の社内規定を調べたり人事に問い合わせて詳細を確認しましょう。
育児休業
育児休業は女性も男性も取得することができます。子が1歳になる誕生日の前日まで取得することができ、条件を満たせば2歳まで延長することができます。女性の場合、産後8週までは産後休業となるので、育児休業に切り替わるのは産後9週からです。男性の場合、出産予定日から取得することができます。
育児休業中の給付金
育児休業中も休職扱いなので、通常、勤務先からの給与は支給されません。その代わり、雇用保険から「育児休業給付金」を受け取ることができます。育児休業給付金は育児休業開始から6ヶ月間は賃金の67 %、それ以降は50 %相当額が給付されます。67 %の期間は手取り額では収入の減少は大きくないでしょう。
育児休業中の給付金の上限額に注意
育児休業給付金には給付上限があるので高所得者の場合、67 %(6ヶ月まで)、50 %(6ヶ月以降)といった割合より少ない額になります。給付上限額は毎年改定され、2023年5月7日までは
- 67 %期間の上限額: 305,319円
- 50 %期間の上限額: 227,850円
となります。額面の月給がざっくり45万円を超える場合には上限額に引っかかるので注意が必要です。
有給休暇との使い分け
育児休業についても、社会保険料免除の金銭的メリットとボーナス算定期間の短縮によるデメリットを考慮し、有給休暇と使い分けることが可能です。下記、いずれかの条件を満たすと、その月に支給される給与の社会保険料が免除となります。
- 月末の日が育児休業期間中である
- その月14日以上育児休業を取得している
そこで、例えば男性の育休の場合、子供が産まれる予定の月の月末から育児休業に入り、それ以前の期間は有給で賄うといった対応が可能です。育児休業を終わる月も、14日以上の休業を取得してから復帰することで社会保険料を免除にすることが可能です。特にボーナス支給月が育児休業期間にかかっている場合は影響が大きいので注意が必要です。ボーナス算定期間の短縮による額面金額の減少と社会保険の免除による手取り増加のバランスを考えて育児休業期間を調整することも可能です。
出生時育児休業(産後パパ育休)
男性は出生時育児休業を取得することができます。こちらは通常の育児休業とは別に取得可能です。生後8週間の期間内に合計28日を限度として、2回まで分割取得することができます。給付金については通常の育児休業給付金とだいたい同じです。詳細は厚生労働省のパンフレット(2022年10月1日施行版)をご参照ください。
個人的には通常の育児休業で一気に数ヶ月休業を利用するほうが分かりやすいと思いますが、どうしても会社で働きたいという方は利用してみてもいいかもしれません。
年次有給休暇
年次有給休暇も出産・育児のために有効活用することができます。産休や育休は休職扱いとなるため、基本的には無給となり、勤務先の健康保険や雇用保険から給付金が支給されるだけとなります。社会保険料が免除となる分、手取り収入としてはそれほど大きく減少するわけではありませんが、ボーナスの算定期間が短くなるためボーナスは目減りします。ボーナスの割合が大きい会社のお勤めの方にとってはボーナスの目減りは大きな収入減に繋がる可能性があります。
そこで、産前・産後休業や育児休業のセクションで前述したとおり、月末や14日以上の休業で社会保険料を免除としつつもなるべく有給休暇を使うことで給与の目減りを抑えることができます。ボーナスの社会保険料免除によって手取りとしてむしろ増加する可能性もあります。
年次有給休暇は産休中・育児休業中も付与される
年次有給休暇は育児休業中でも付与されることにも注目しましょう。産前産後休業、育児休業、介護休業や業務上の負傷・疾病による休業は年次有給休暇付与の算定上は出勤扱いとなります。そのため、育児休業中でも通常通り年次有給休暇が新たに付与されます。年次有給休暇の残りに日数によっては、産前産後休業や育児休業に入る前に消化しておいたほうがお得かもしれません。
その他の有給休暇
会社によっては、出産や育児のために有給休暇を付与する場合があります。例えば、出産立会のために予定日もしくは出産日に合わせて3日程度の有給休暇を付与したり、育児のために毎年数日の有給休暇を付与するといった取り組みをしている企業もあります。社内規定を調べてみたり人事や福利厚生の担当者に問い合わせてみると良いでしょう。
Conclusion | まとめ
最後までご覧頂きありがとうございます!
産前産後休業や育児休業の基礎知識をまとめました。
産前産後や育児のために休業や給付金が用意されています。これらの休業だけでなく、年次有給休暇や特別に付与される有給休暇などとうまく組み合わせることで、出産や子育てに備えつつ、経済的にもメリットの高い選択をすることができます!事前知識として知っておくことで出産や子育ての準備も充実します!
以上「育児 | 産前産後休業・育児休業の基礎知識(データサイエンティストの育児体験記#4)」でした!
またお会いしましょう!Ciao!
References | 参考
- 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000135090_00001.html
- 育児休業の詳細は上記URL内の「育児休業給付についてのパンフレット」にあります。
- 厚生労働省鹿児島労働局: https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/yokuaru_goshitsumon/nennij/0412.html
- 育児休業、産前産後休業、介護休業、業務上の負傷・疾病による休業は出勤扱いで年次有給休暇が付与される。
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