転職レシピ|天文学ポスドクの職種選択(データサイエンティストとの出会い編)

転職
天文学に限らず、観測物理系研究者とデータサイエンティストの相性は良いです

Ciao!みなさんこんにちは!このブログでは主に
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の4つのトピックについて発信していきます。

今回は職種選択についてお話します!
最近の転職レシピでは、私が2018年当時、ポスドクから民間企業にデータサイエンティスト(コンサルタント)として転職した体験談を紹介しています。
前回の記事「転職レシピ|天文学系ポスドクの転職目的(整理と言語化のフレームワーク編)」では、転職準備段階のスタート地点であるキャリアイメージを描き、ポジティブな転職目的を言語化するフレームワークをご紹介しました!
将来のキャリアの方向性が定まり、転職目的が明確になったら、次は具体的にどのような職種の求人に応募するか検討する段階に入ります。

この記事では、民間企業に疎かった私がどのようにデータサイエンティストという職種を知り、希望職種として選択するに至ったのかをお伝えします。
当時、どのような職種を選べば博士・ポスドクの研究で培ってきた経験やスキルを活用できるのか、活躍して年収を上げることがきでるのか全くピンときていませんでした。
しかし、複数回のキャリア面談を通して、「データサイエンティストなら活躍できそう」という感触を掴むことができました。
私個人の例ですが、博士・ポスドクの民間転職において、転職先を見つけるための参考になる部分もあるはずです。

民間転職を考えているものの、どのような企業に行けば活躍できるのかピンとこないという博士・ポスドクの方、元研究者の方は、この記事を参考にしてみてください!

Abstract | 転職活動で出会った「データサイエンティスト」という職種

私は転職活動のキャリア面談で初めて「データサイエンティスト」という職種を知り、そのおかげで今では民間企業でデータサイエンティストとして活躍できています。
実は転職活動を始めるまでは、大手メーカの研究開発エンジニアかシステムエンジニアぐらいしか、博士・ポスドクが民間企業に行く選択肢は存在しないと思い込んでいました。
博士課程在籍時にもこれらの職種に新卒で就職することも検討しましたが、これらの職種では観測天文学の経験・能力の大半を活かすことはできないため魅力を感じていませんでした。

そんな私はポスドクから民間企業へ転職することになり、転職エージェントとのキャリア面談で「データサイエンティスト」という職種を提案されました。
研究の経験・スキルとのマッチングも良く、年収が高く、働きやすく、将来性もあるため、この職種を転職先の職種の主軸に据えました。
統計学・数学・プログラミングを活用してデータを解析・分析し、社会課題を解決するという職業は、扱うデータが天文学のデータから実社会に存在するデータに変わるだけで、大枠は観測天文学者の業務と変わりません。
また、民間企業ではデータ活用、データを活用した経営改善が取り入れられつつあり、ニーズの高さからデータサイエンティストの待遇(年収、働きやすさ、将来性)は、研究開発職、エンジニア、クラシカルなコンサルタントと比べて良い傾向にあります。

この記事では、転職エージェントから提案を受けて、希望職種をデータサイエンティストに絞り込んだ過程をご紹介します!
事情は個々人異なるとは思いますが、参考になる部分もあると思います。
民間への転職を検討されている博士・ポスドクの方は読んでみてください!

 



Background | 限られていると思い込んでいたポスドクの転職先

私は、転職活動を始めるまでは、ポスドクの転職先の選択肢に無知で

  • 博士・ポスドクの研究経験や能力を活かせるキャリアは民間企業には存在しない
  • 民間企業に転職したら研究経験や能力の大半は無駄になってしまう

と思い込んでいました。
民間企業への転職を視野に入れている博士・ポスドクの方の中には、このようなに考えている方もいるかもしれません。
まずは私が転職活動を始める前に抱いていた誤った思い込みをご紹介します!

転職先企業候補についての誤った思い込み | 大手メーカーしかない

転職活動を始めるまでは、ポスドクの転職先の選択肢は限られていると考えていました。
以前の記事「転職レシピ|天文学系ポスドクの民間転職(情報収集編その2)」でもお伝えしましたが、転職活動を始めるまでは、民間企業に勤める = 新卒採用のイメージがありました。
そのため、多くの先輩や同期が新卒で就職した大手メーカーなどしか選択肢がないという思い込みがありました。
天文学の修士や博士から民間企業に新卒で就職する場合、特に観測系では、業種としては大手メーカーが大半です。

  • 三菱電機
  • NEC
  • NEC中央研究所
  • キヤノン
  • キヤノン電子
  • ソニー
  • 富士通
  • 日立製作所

など、誰でも知っている大手メーカーやメーカー系研究所です。
これらの企業は博士の新卒枠を設けていたり、大学で説明会を行っているため、博士課程の学生にも高いVisibilityを持っています。
このような背景があったために、博士・ポスドクは博士の新卒枠を持っている企業に行かないと活躍できないのではないか、思い込んでいました(誤った思い込みです)。

職種に対する誤った思い込み | エンジニアしかない

エンジニア系職種しか選択肢がないという思い込み

さらに当時は、職種としてもメーカーで実験を行う研究開発職や、やはりメーカーでシステム開発を行うシステムエンジニアぐらいしか選択肢がないと思いこんでいました。
これも多くの先輩や同期が新卒採用で就職する職種がこのようなものばかりだからです。
確かに、私を含め観測装置の実験・開発を行っていた天文学研究者であれば、メーカーの研究開発職には観測装置開発の経験やスキル、知見が活かせます。
実際、私の直属の先輩は大手メーカーで光学センサーの研究開発業務に従事しています(こちらの記事→「転職レシピ|天文学系ポスドクの民間転職(情報収集編その3)」)

メーカーの研究開発職にはピンとこなかった

しかし、メーカーの研究開発職では、博士・ポスドクの研究で培った能力のごく一部しか活かせないのが実情です。
前述の先輩が観測装置開発をメインの研究にしていた一方、私のメインの研究テーマは銀河の観測的研究で、観測データを解析して宇宙の成り立ちや銀河という天体の成り立ちを解き明かすというものです。
データ解析や画像解析の経験をもっと活かしたいと考えており、メーカーの研究開発職には魅力を感じていませんでした。
だからこそ、博士新卒のときの就職活動をしなかったのです。

システムエンジニアもピンとこなかった

また、システムエンジニアも私にとってピンとくる職種ではありませんでした。
システムエンジニアも開発の部類です。
しかも、天文学の経験、観測装置の実験・開発の経験を活かすのはメーカーの研究開発職よりも困難です。
論理的思考力などのベーシックなスキルは共通しますが、それ以上のスキル、特に研究コアスキルとよべるレベルのものが活用できるかは疑問です(システムエンジニアの先輩の話もこちらの記事→「転職レシピ|天文学系ポスドクの民間転職(情報収集編その3)」)。

データサイエンティストとの出会い

転職を始めた当時の私は、

  • ポスドクを辞めて民間企業には行きたい
  • でも、研究コアスキルは活用したい
  • メーカーの研究開発職やシステムエンジニアなどの開発職はピンとこない

という状態でした。
現状の問題をなんとかしたいけれども、解決策がわからない、そもそも解決策 = ピンとくる職種があるのかもわからないということです。

この悶々とした状態を解決してくれたのが、転職エージェントとのキャリア面談でした。
そこで、データサイエンティストという言葉と初めて出会います。
「エンジニア」ではなく「サイエンティスト」という響きが私の琴線に触れました。
以下では、転職エージェントが私に提示した職種をご紹介します!



Contents | 転職エージェントから提示されたデータサイエンティスト職

転職活動を初めて間もなく、転職エージェントとのキャリア面談を行い、複数のエージェントから「データサイエンティスト」という職種を提案されました。
データサイエンティストとは、統計学や数学に基づくデータ解析によって社会課題を解決する職種です。
ビジネスの現場で様々なデータが集められるようにになるにつれて、その活用が経営の成否を握るようになってきました。
私が転職活動をしていた2018年当時は「ビッグデータ」や「データサイエンス」という言葉が流行っており、ビッグデータをビジネスに活用できる「データサイエンティスト」という人材へのニーズは高かったのです。
それから3年近くたった今でも、「データ活用」や「DX」という言葉が使われており「データサイエンティスト」へのニーズは高いままです。

2018年当時、転職エージェントから「データサイエンティスト」という職種を提案された際の説明をご紹介します。
他の職種、研究開発職、システムエンジニア、コンサルタントと比較して、どのような特徴があるのか参考にしてみてください!
なお、以下では私の意見や見解は一切挟まず、転職エージェントからの情報をほぼそのまま書きます。
民間企業のデータサイエンティストとして働き始めて2年以上経って、「ここはちょっと違う」など思うこともありますが、それはまた別の機会に!

dodaエージェントからの提案

初めてキャリア面談をしてもらったdodaのエージェントからは、以下2つの職種を提案されました(私が利用したエージェントについての記事→「転職レシピ|天文学系ポスドクの転職エージェント活用術3(利用方針編)」)。

  1. 研究職:
    1. 人気職種で難易度は高い.
    2. 求人は入れ代わり立ち代わりで採用枠もたいてい1人と少ない.
    3. 買い手市場になっていて企業も足元を見るので給料が上がりにくい.
  2. データサイエンティスト:
    1. 採用枠は3名程度はある.
    2. 研究職よりもニーズが広い.
      データをビジネスに活かすのが企業の今後のトレンド.
      業種を問わず様々な企業から求められている.
      求人も多い.
    3. 給料は500万程度は出ることもある.
      ただ, 500万は比較的高い方で, メーカー, 大手IT企業のデータサイエンティストになれれば達成する額.

インゲートエージェントからの提案

3社目ぐらいに面談をしてもらったインゲートという会社のエージェントからは、データサイエンティストを含めていくつかの職種が提案されました(私が利用したエージェントについての記事→「転職レシピ|天文学系ポスドクの転職エージェント活用術3(利用方針編)」)。
このエージェントもアカデミック出身者の転職担当した経験があり、IT企業やコンサル系が得意とのことでした。

私の経歴と照らして候補となる職種

このエージェントの見立てでは、私の経歴

  • アカデミック出身
  • 画像解析の経験
  • 企業での就業経験無し

を考慮すると選択肢は以下の4つとのことでした。

  1. テータサイエンティスト
  2. コンサルタント
  3. IT・ソフトウェアエンジニア
  4. 民間の営業
  5. 第2新卒で総合職

さらに、このうち研究の経験を活用できるのは、1.テータサイエンティスト, 2.コンサルタント, 3.IT・ソフトウェアエンジニアだが、「未経験でIT・ソフトウェアエンジニアやるよりテータサイエンティストの方が給料はいい」という見解でした。

コンサルタントとデータサイエンティストの比較

このエージェントはコンサルタントとデータサイエンティストの比較もしてくれました。
ここで言うコンサルタントとは、私の転職先である「コンサルティングファームのデータサイエンティスト」ではありません。
戦略コンサル、経営コンサルなどのいわゆるコンサルタントです。
本格的なデータ解析を行うわけではなく、クライアントのために様々な調査を行って資料を作ったり、利害関係者との調整を行うといったクラシカルなコンサル業務を行う職種です。

コンサルタントとデータサイエンティストの比較は以下です。

コンサルタントの傾向と特徴
  1. 残業時間は月70時間程度とかなり激務
  2. 年収はポテンシャル採用となるので500万円を超える
  3. 面接で「どうしてもコンサルに行きたい」と言えないと通らない
  4. 候補企業
    1. 官公庁を相手にするならシンクタンク。
      ただし、研究分野的にマッチングしない(経済学や社会科学がメイン)。
    2. 民間を相手にするデロイトトーマツコンサルティングなどの外資系コンサル。
データサイエンティストの傾向と特徴
  1. 残業時間は月20–30時間とコンサルよりも働きやすい
  2. データサイエンティストとして技術を磨けると将来性が高い(コンサルにも将来性はあるが、それより高い)
  3. 転職の難易度としては高い
  4. 民間企業未経験のアカデミック出身者からデータサイエンティストになるには、分野や企業が限定される。
  5. 候補企業
    1. IT系事業会社
      例: GMOインターネット: 自社の金融データから商品を作る業務をやっており、アカデミック出身者を多数採用している。
    2. Web系事業会社
      アカデミックな背景とは合わないが、受けてみても良いかもしれない
    3. データ分析会社
      例: アルベルト: 残業が少なめで年収が高い。データ分析の技術が身につけられる。

データサイエンティストを雇う企業のタイプ

さらにこのエージェントは、データサイエンティストを雇う企業のタイプについても説明してくれました。
企業のタイプには

  1. クライアントのデータを分析する企業 = データ分析会社
  2. 自社のデータを分析する企業 = IT系事業会社、Web系事業会社

の2つがあります。

クライアントのデータを分析する企業では、

  • 様々なデータを扱えるため、技術力が高く身につく
  • 長く在職するデータサイエンティストも多く、「この種類のデータを分析したい」と定まった時に事業会社に転職する方法がある
  • 最初は大手事業会社に行けなくても、その会社がクライアントであれば、その会社のデータを分析して関係を築いた上で転職する手もある

という特徴があるそうです。

一方、自社のデータを分析する企業では、

  • データ分析だけでなく、分析に基づく事業の提案などもできる
  • いろんなデータを扱うことはできない
  • 民間企業未経験者を採用していて、かつビッグデータを扱える企業となると少ない



Discussion | 観測天文学の経験を活かすならデータサイエンティスト

2人の転職エージェントからデータサイエンティストについて説明を受け、他の候補業種と比較してみると、「統計学・数学・物理学を使って観測データを分析し、宇宙や銀河の成り立ちを解明する」観測天文学者の能力を活用するならデータサイエンティストが最もマッチしており、待遇も良さそうということがわかりました。
データサイエンティストは「統計学・数学を使って実社会のデータを分析し、社会課題を解決する」職種です。
天文学の観測データを分析するか、実社会のデータを分析するかの違いしかありません。
また、転職エージェントの話を聞く限り、激務ということもなく年収も良い傾向にあり、将来性もあるようです。

転職開始当初は「データサイエンティスト」という言葉を聞いたこともありませんでしたが、研究の経験・スキルとのマッチング、年収の高さ、働きやすさ、将来性を考えデータサイエンティストという職種をメインに考えるようになりました。
転職から2年以上経った現在、私自身は民間コンサルティングファームのデータサイエンティストとして活躍できています(詳細はこちらの記事をどうぞ→「天文学系データサイエンティストの略歴2|民間コンサルタントとしての業務ポートフォリオ」、「転職レシピ|博士は研究コアスキルを活かして民間企業で活躍できる」)
転職エージェントとキャリア面談の機会を持たなかったら、データサイエンティストになることはなかったかもしれません。
博士課程在籍時に新卒採用の就活を受けようか考えていた頃には出てこなかった選択肢(そもそも当時データサイエンティストという言葉が浸透していなかった)です。
転職活動が思わぬ将来キャリアをもたらしてくれました



Conclusion | まとめ

最後までご覧いただきありがとうございます!
私がデータサイエンティストを転職先職種候補として選んだ過程をご紹介しました!

転職活動は始めてみないとその可能性に気付くことはできません。
私自身、キャリア面談を持つ前にはポスドクの転職先の選択肢に無知で

  • 博士・ポスドクの研究経験や能力を活かせるキャリアは民間企業には存在しない
  • 民間企業に転職したら研究経験や能力の大半は無駄になってしまう

と思い込んでいました。
しかし、データサイエンティストへの転職で「研究の経験・能力で民間企業で活躍する」ということが実現できました。
「民間企業への転職を視野に入れているけれども積極的な目的を見いだせない」、「自分の研究の経験・能力をどのように活かせるのかわからない」と悩んでいる博士・ポスドクの方は、転職エージェントとのキャリア面談を一度持ってみることをおすすめします!
これまで知らなかったキャリアの可能性に気づけるかもしれません!

以上、「転職レシピ|天文学ポスドクの職種選択(データサイエンティストとの出会い編)」でした!
またお会いしましょう!Ciao!

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