サイトアイコン 天文学者のpython・音楽・お料理レシピ

転職レシピ|天文学系ポスドクの民間転職(情報収集編その2)

ドナウ川の背景に記事の概要

研究分野は違えど、先人たちのブログから、業種・職種・年収など、博士転職の全体像が見えてくる。

Ciao!みなさんこんにちは!このブログでは主に
(1)pythonデータ解析,
(2)DTM音楽作成,
(3)お料理,
(4)博士転職
の4つのトピックについて発信していきます。

今回は転職レシピです!
情報収集編シリーズでは、転職活動における情報収集のやり方をご紹介します!
私自身の転職活動の例もお話します!

情報収集編その2では、業種・職種・年収といった博士転職の全体的なイメージを掴むための情報収集の方法ついてお話しします。
転職市場の中で博士・ポスドクから民間企業への転職というキャリアパスはマイノリティーです。
転職サイトに掲載されている情報だけでは、ポスドクから民間企業に転職する際に、どのような業種・職種の企業を選べば活躍できそうか、年収はどのくらいを狙えるのか、イメージしにくいです。

この記事では、私が2018年当時に参考にした元研究者のブログ記事を紹介しながら、どのように業種・職種・年収といった博士転職の全体的なイメージを掴んだのかをお話します。
2021年現在では転職市場も変化しているので、当時の情報をそのまま活用することは難しいかもしれませんが、博士転職の全体的なイメージを掴むプロセスを理解しましょう!

Abstract | 元研究者の転職ブログで全体像を掴む

転職活動における情報収集は、転職エージェントを通して行う以外に、自分でもできることがあります。
とはいえ、博士・ポスドクからの転職の場合、転職サイトに掲示されている一般的な情報が参考にならないことも多いです。

自分で情報を集める際の情報源として、元研究者のブログは、業種・職種・年収などの全体像を使う上で参考になります。
専門分野が異なるなど、100 %鵜呑みにはできませんし、知り合いから直接聞けるほどの深さはありません。
しかし、浅く広く知識を集めて、博士転職の全体像についてイメージを持つことができます。

転職活動の基礎知識的な部分についてはかなり参考になります。
実際に、何人かのブログに目を通していただければ、

など、基本的な情報を集めることができます!
元研究者の転職ブログから全体像を掴むプロセスを理解していきましょう!



Background | 転職活動における情報収集の手段

情報収集は転職活動のすべての段階で重要です。
どの企業に応募するのか、内定をもらったあと、どの企業への入社を決定するかが左右されます。

研究者が転職活動を行う上で、研究者にとって役に立つ情報を収集することが大切です。
転職活動の情報収集の手段は、大まかに

  1. 自分で情報を収集する
  2. 転職エージェントから情報を収集する

の2つがあります。
どちらも並行して行うことが大切です。
今回は、「自分で情報収集する」ことの一部を紹介します。
前回の記事で、自分で情報収集する際に、

  1. 元研究者のブログから情報を得る
  2. 先輩や友人から直接聞く

があるということをお伝えしました。
今回お話するのは、「1. 元研究者のブログから情報を得る」です。

研究者(ポスドク)から民間企業に転職を成功させた方のブログは貴重な情報源です。
研究の分野が異なる、時代や経済環境が異なるなど、100 %参考にはできないかもしれませんが、業種・職種・年収といった、博士の転職活動の全体像をイメージする上で役に立ちます。
この記事では、私が2018年当時実際に参考にしたブログを紹介しながら、私がどのように転職活動の全体像をイメージしたのかをお伝えします!



Contents | 研究者の転職に役立つ元研究者のブログ

2018年夏当時、私が参考にしたブログ記事たちの一覧

まずは、私が参考にしたブログ記事の一覧をご紹介します!
当時のメモ(詳しくはRerences参照)が残っていたので、それを元にリストにしてみました!
2021年現在は、別の方のブログなどがもっと増えているかもしれません。
リンクが生きているものはリンクも張っておきますので、ぜひご覧になってみてください!

#概要リンク得た情報の概要
1ポスドクの民間企業への就活記録
国内某金融のクオンツになった方
urlまずは相談と情報収集が肝
2どっかのポスドクの転職ブログ閉鎖ポスドクは学術&企業で終身雇用を考えて行動せよ
3バイオ系ポスドクの体験談年収
エージェント
年収800万円を目指す2段転職戦略
エージェントの使い方とTOEICの点数について
4天文学の元ポスドクの体験談閉鎖天文学研究時代の業績
ポスドクをやりながらの転職活動の流れ
5USの医学系元ポスドクの記事閉鎖正社員として採用されるまでの流れ
6尾崎氏(データサイエンティスト)のブログ博士人材の動向新卒博士or博士課程在学者が民間に行くケース
ポスドクから民間に行くケース
7転職Hacksポスドク問題転職のタイミング
8知り合いの活躍を紹介した記事VASILY天文出身者のデータサイエンティストとしての活躍
2018年当時参考にした記事

ブログ記事たちから得られた私の転職活動の全体像

上記8つの記事を中心に情報収集した結果、転職活動の全体像として、私は以下のイメージを持ちました。

  1. 業種・業界にこだわらない
  2. 研究コアスキルを活かせるデータサイエンティスト系の職種を選ぶ
  3. 転職後の年収の目安は600万円前後
  4. 転職後、5年程度で年収800万円を目指す

それぞれについて詳しく見ていきます!

活躍できそうな業種のイメージ | 業種にこだわる必要はない

上記のブログ記事を読みつつ情報収集を進めることで、業種にこだわる必要はないという結論に至りました。
それよりも、研究コアスキルが活かせる職種を選ぶことが大切であると気づきました。
ちなみに業種とは、メーカー、運輸業、商社(卸売業)、金融、コンサルなど、会社が属している(主に収入を得ている)産業業界のことです。
一方の職種とは、営業、技術者、研究開発、データサイエンティスト、コンサルタントなど、従業員の従事する業務内容のことを指します。

実際、先人たちのブログ記事に目を通すと、研究者の民間転職において、業種にこだわらなくて良いことに気づきます。
例えば、3のバイオ系ポスドクの方は、外資系企業への転職をしています。
また、6の尾崎氏はポスドクの転職先としてIT業界、データ分析業界、コンサル業界が有力になりつつあると行っています。
さらに、8の記事で特集されている後藤さん(私の知り合い)はアパレル業界のデータサイエンティストです。

転職活動を始めて、このような情報に触れるまでは、ポスドクの転職先の選択肢は限られていると考えていました。
これは、新卒採用のイメージがあったためです。
というのも、天文学の修士や博士から民間企業に新卒で就職する場合、特に観測系では、業種としては大手メーカーが大半です。
例を上げると、

などなど、誰でも知っている大手メーカーやメーカー系研究所です。
これらの企業は博士の新卒枠を設けていたり、大学で説明会を行っているため、博士課程の学生にも高いVisibilityを持っています。
私自身、博士は博士の新卒枠を持っている企業に行かないと活躍できないのではないか、思い込んでいました(大きな誤りです)。

ポスドクの転職や新卒でも博士卒の場合には、中途採用、いわゆるキャリア採用です。
研究で磨いてきた研究コアスキル」で活躍できるのであれば、業種や業界はどこでも良いわけです。
ブログ記事を読んだだけではなく、それと並行して転職エージェントと面談をする中でこの事実に気が付きました。
このようにして、天文学系ポスドクであった私が活躍できそうな業種のイメージが広がりました。
そして、業種よりも研究コアスキルが活かせる職種から企業を探すことにしました。
結果的に、書類を応募する際に、

など非常に幅広い業種に応募することになりました。

活躍できそうな職種のイメージ | 研究コアスキルが活かせる職種

博士の転職活動では、業種・業界よりも活躍できる職種を選ぶことが重要です。
博士の転職活動の採用枠は中途採用、すなわち即戦力の枠です。
研究で培ってきた能力を業務にどのように活かせるかがポイントです。
5のUSの医学系元ポスドクの記事(元URLは閉鎖されていますので、下記Referencesのメモ書きをご参考ください)を読むと、結局は医学系の研究経験を活かして転職を成功させたことがわかります。

私の場合、問題になるのは、天文学のどの部分を活かすことができるかです。
天文学は純粋学術で、医学や薬学のような産業界とのつながりはありませんし、民間企業で研究をしている会社はありません。
実際、転職エージェントと面談をして、スキルを棚卸ししながら職務経歴を書くまでは、プログラミングや画像解析、統計学といった研究コアスキルが活かせることに気づいていませんでした。

しかし、一旦このような研究コアスキルが活かせることに気づくと、職種のイメージが湧いてきます。
6の尾崎氏のブログを読むと、プログラミングを中心に、統計学や画像解析のスキルが、データサイエンティストという職種で活かせそうな気がしてきます。
実際、天文学出身の後藤さんが活躍しているという記事が8です。
6の尾崎氏のブログには、実際にどのようなデータ解析を行っているのかなども書いてあるため、研究で培ってきたプログラミング、画像解析、統計学などのスキルが、どんな場面でどのように活用できそうなのか、かなり具体的にイメージできるはずです。

また、天文学のデータ解析の特徴として、画像データを扱うという点があります。
そこで、情報系出身のデータサイエンティストとの差別化要因として画像データというのもキーワードに入れながら職種をイメージしました。

このようにして、応募する職種のイメージとして、

という2つのイメージを持ちました。
実際にデータサイエンティストを志望した経緯についてはまたどこかでお話します!

転職時の年収のイメージ | 年収600万円を狙う

転職後の年収のイメージとして、600万円というイメージを持ちました。
600万円という具体的な数字が出てきたのは、転職エージェントとの面談でデータサイエンティストにフォーカスし始めたあたりです。

ポスドクで転職活動を始めると、年収イメージが全く沸かないことも多いと思います。
当時私が手がかりにした情報といえば、博士新卒を募集している企業の新卒年収ぐらいでした。
どこも30万円弱ぐらいなので、単純に12を掛けて360万円かな?と思ってしまいそうですが、民間企業にはボーナスがあるので、実際の額はよくわかりません。
ちなみに、ポスドクにはボーナスがないあるいはあってもアリンコの涙程度です。

年収イメージで参考になったのは、3のバイオ系ポスドクの方の記事です。
この記事では、

  1. まず、正社員となること
  2. 次に、年収800万円を目指して再転職を考えること

の重要性が書かれています。

民間企業のキャリアは、民間企業での就業経験が問われます。
もちろん研究の経験で売り込むことができますが、「サラリーマン経験がない」ことで多少の減点が入ります。
そこで、民間企業で年収を上げていくには、民間企業での就業経験も必要になるということです。

3のバイオ系ポスドクの方の記事では、特に正社員としての就業経験が強調されています。
残念ながら、日本の民間企業において、正社員と非正規(派遣雇用、期間雇用)の待遇には天と地ほどの差があります。
私の勤め先にも派遣で働く方がいますが、非正規から正規への転換は基本的にはできないのが現状です。
したがって、まずは正規雇用での民間企業経験を積むことが重要で、非正規雇用の期間をなるべく短くしたいわけです。
ポスドクは非正規雇用です。
なので、非正規で民間企業に行ってしまったら、さらに非正規雇用の期間が伸びてしまいます。
3のバイオ系ポスドクの方の記事では、サラリーマン経験無しで、正規雇用で転職しようと思ったら、年収500万円ぐらいが妥当と書かれています。
私の場合は、この金額を念頭に置き、転職エージェントとの面談で最終的に年収600万円を目安にすることにしました。

転職後の年収イメージ|転職後、数年で年収800万円を狙う

転職後の年収イメージについては、3のバイオ系ポスドクの方の記事にかなり詳しく書かれています。
年収800万円を目指す動機は、そこが最も費用対効果的に心地のよい年収レンジだからです。
これについては別途詳しく取り上げたいと思いますが、年収900万円を超えると累進課税によって、所得税が23 %から33 %に激増します。
また、年収と幸福度の相関についての調査でも、年収800万円で幸福度は頭打ちになることが知られています。
もっと言えば、年収800万円を超えてしまうと、税金に加えて、背負う職責や労働時間がどんどん割に合わなくなっていくということです。

転職後にうまく行けば、昇格で年収800万円を達成することもできますが、日本企業では勤続年数と年収が比例するため簡単には年収を上げることはできません。
そこで、1社目の民間企業でサラリーマン経験を得た上で、別の企業に年収アップで転職するということが選択肢に入ってきます。

2社目で800万円を目指すのであれば、1社目でしっかりと経験を積むことができる企業である必要があります。
経験を積むためには、その会社で自分が成長できる、あるいは自分を成長させてくれる余裕のある会社である必要があります。

このように転職後数年を考えると、以下のイメージを持つことができます。

この長期的なイメージが、内定後、転職先を選ぶ上でかなり重要になってきます!



Conclusion | まとめ

最後までご覧いただきありがとうございました!
元研究者のブログから情報収集し、業種・職種・年収などの転職の全体像のイメージを掴むプロセスをご紹介しました!

転職市場の中で、博士やポスドクからの民間転職というキャリアパスは少数派です。
そのため、一般的な転職情報が参考にならないことも多く、産業界の情報が入ってきにくい博士・ポスドクにとっては、参考になる情報を集めることが最初のハードルになることも多いでしょう。
今回の記事では、私が転職活動当時に実際に参考にした元研究者のブログ記事を紹介しながら、私が転職活動の全体像をイメージしたプロセスをお話しました。
現在は他の方の記事も増えているかもしれません。
今回紹介したプロセスを念頭に置きながら情報を探してみましょう!

以上、「転職レシピ|天文学系ポスドクの民間転職(情報収集編その2)」でした!
またお会いしましょう!Ciao!



References | 参考

参考にしたブログ記事について、私が当時まとめていた内容を備忘のために残しておきます。

記事1–3のまとめ

記事2: 東大天文だった人の体験談の抜粋

記事5: USで医学系ポスドクをやっていた人の記事の抜粋

記事6: データサイエンティスト尾崎隆氏のブログ記事抜粋

記事7: 博士が100人いる村を引き合いに出してる記事の抜粋

モバイルバージョンを終了